登山をやっている人なら一度は憧れたことのある槍ヶ岳。
有名な山だけどなんだか登るのが難しそうだから、自分には縁がないかな、なんて考えている人は結構多いんじゃないでしょうか。
槍ヶ岳って、やっぱり難しいの?
そのうち槍ヶ岳に登りたいから、知っておくといいことがあれば教えてほしい。
本記事ではこんな疑問にお答えします。
<本記事の信頼性>
・筆者は登山歴9年。
・日本百名山をガイドやツアーなしで80座登った実績があります。
・背伸びをしない分かりやすい文章を心がけています。
槍ヶ岳は登山初心者でも登れるのか
まず槍ヶ岳登山の難易度についてお話ししておきます。
一般的に槍ヶ岳に登るには、ある程度の登山経験が必要だと言われています。
でもインターネットなどで調べてみると、登山経験のほとんどない某有名女性芸能人が槍ヶ岳に登頂したなんて記事も出てきます。
また登山雑誌を開いてみると、槍ヶ岳の事細かなルート解説や登山プランなんかが書かれているので、旅行の延長線上みたいな感じで考えてしまう人も中にはいるかと思います。
では、その辺のトコぶっちゃけ実際はどうなの?
というところを順番にお話ししていきます。
先に結論から言ってしまうと、槍ヶ岳は難しくはないけど、ある程度の登山経験は必要ということになります。
理由を少しかみ砕いて順に解説していきますね。
登山道の難易度は低い
まず最初に登山道について。
山の難易度を知りたいなら、まず登山道の様子を知りたくなりますよね。
結論から言うと、簡単です。
簡単ですというと少し語弊がありますが、正確にいうとほぼ簡単です。
槍沢コースで登ることを前提にお話しします。
槍沢コースについて詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
登山口となる上高地からほぼ終点となる槍ヶ岳山荘までは、危険箇所はほぼありません。
全行程の半分は傾斜もほぼない平坦な道です。
崖っぷちを歩くことはありませんし、岩場や鎖場などもありません。
ただただきれいに整備された登山道をひたすら歩いていくだけです。
長い歩行距離のことを抜きにすれば、スニーカーでも歩けるくらい歩きやすい道です。
なので別に恐れる必要はありません。
自分はまだ登山経験が少ないからといってあまり構えないで、自分でも登れるかもと思っていいですよ。
槍ヶ岳に登る登山道は意外と簡単だ、ということをまず覚えておいてください。
高山病になりにくい
次は高山病のお話です。
槍ヶ岳は3,000mを超える日本でも有数の標高の高い山です。
標高の高い山というと、やはり高山病が気になりますよね。
個人差はありますが、一般的に標高2,000m程度から徐々に高山病の症状が出始める人が出てくるようです。
3,000m登ると約40%の人に何らかの高山病の症状が現れるそうです。
ということは、3,180mある槍ヶ岳に登ると半分くらいの人は何らかの形で高山病になっているといえそうです。
でも槍ヶ岳に登っても、あまり高山病に悩まされている人を見たことがありません。
それはなぜか。
答えは簡単です。
非常に長い時間をかけてゆっくりと高度を上げて登っていくからです。
同じ北アルプスの燕岳と比較してみましょう。
燕岳の登山口となる中房温泉の標高は1,462mで燕岳は2,763mあります。
標高差は1,301mです。
日本三大急登と呼ばれる合戦尾根を使ってこの標高差をたった5時間で登ってしまいます。
1時間あたり260mというハイペースで標高を上げることになります。
なので、僕は燕岳に登るといつも軽い高山病になります。
一方、槍ヶ岳はどうか。
登山口の上高地の標高は1,500m、槍ヶ岳の山頂は3,180m。
標高差は1,680mです。
これをゆっくりと9時間かけて登ります。
1時間あたり186m登る感じです。
どうです?
これだけ時間をかけてゆっくりと標高を上げて登るので、実は槍ヶ岳に登っても高山病にはなりにくいのです。
なんだか身近に感じてきませんか?
高山病はかかるとかなり厄介なので、なりにくいのはかなりポイントが高いですよね。
とはいえ、槍ヶ岳も3,000mを超える高山であることには変わりません。
体質には個人差もあるので、高山病には注意すべきです。
なので、槍ヶ岳に登る前には標高慣れのための登山をしておくといいですよ。
おすすめは乗鞍岳。
標高2,700mまでバスで連れて行ってくれますので、短時間で気軽に3,000mの山に登れて、高度順応の訓練にもなります。
ただし道のりは長い
これまで「登山道が簡単だ」とか「高山病になりにくい」といったおいしい話をしてきました。
もちろんこれらは事実です。
でも、やっぱり槍ヶ岳は遠いということも覚えておいてください。
みなさんはこれまでの登山で何時間歩いたことがありますか?
日帰りの登山だと長くても6〜7時間といったところじゃないですか。
ちなみに上高地から槍ヶ岳の山頂までは、コースタイムで片道9時間です。
しかも後半戦はひたすら登りです。
そんなの楽勝だという人は構いませんが、そうじゃないという人はもう少し足腰を鍛えてから登った方がいいかもしれませんね。
ちなみに全行程の歩行距離は39kmで、コースタイムは18時間です。
特に帰りの横尾から上高地までの歩きはかなり単調になるので、メンタルも鍛えておく必要がありそうですよね。
どんな山でも大丈夫です。
長く歩くということに慣れていない人は、ぜひ事前に訓練をしておきましょう。
難しいことではありませんよね😁
キモは槍の穂先へのアタック
槍ヶ岳の登山でキモといえるのは、槍ヶ岳山荘から槍の穂先(山頂)へのアタックです。
コースタイムは片道30分、往復1時間です。
槍ヶ岳登山の全行程18時間のうちのたった1時間です。
槍ヶ岳の登山の核心はほぼここに詰まっています。
槍ヶ岳の写真を見ると、まさに槍の穂先のように尖っています。
あんなに先が尖っていて傾斜も急な岩場を登るなんて、結構無理ゲーな感じがするかもしれませんが、実はそんなに難しくありません。
これまでそれほど長い登山経験がなくても、岩場を登ることに抵抗がない人や高所が極端に苦手でない人であれば、特に問題なく登れるはずです。
岩場でどこに手や足を置けばいいかを考えながら登れる人であれば全く問題ありません。
つまり岩場の基礎ができている人であればOKということです🙆♀️。
逆に岩場の登り下りに慣れていない人や高所恐怖症の人は、もう少し他の山で練習をしてから登るようにしましょう。
毎回思うのですが、恐怖で体が震えてなかなか前に進まない人をよく見かけます。
あと自分で次に手や足を置く場所を探せずに先に進めない人もよく見かけます。
槍ヶ岳は北アルプス屈指の人気の山です。
登山者の数がものすごく多いので、休日の昼間になると毎回山頂に向かって大行列ができます。
岩登りが不慣れだったり高所恐怖症で体が震えるような人は多くの人を待たせることになるので、必ず事前の準備をしてから行くようにしましょう。
他の山でもいくらでも練習はできますので。
とはいえ、ほとんどの人はすんなり登っていくので大丈夫です。
意外とあっけないものです。
自信がないという人はガイドツアーで行くのもおすすめ
自分だけでは槍ヶ岳に登るのが自信がないという人は、登山ガイドツアーをうまく利用しましょう。
ガイドツアーは天候に柔軟に対応できないなどのデメリットはありますが、現地までの交通手段や山小屋などの手配をしてくれます。
また登山中のペース配分の維持をしてくれたり難所などでのアドバイスをもらえたりしてメリットはかなり大きいです。
クラブツーリズムは登山ガイドツアーを豊富に取り揃えています。
リンク先から「山旅・スポーツ」→「日本百名山特集」とクリックしていくと百名山の一覧が出てきて、お好みのツアーを探すことができます。
まとめ
いかがでしたか?
槍ヶ岳を少しでも身近に感じることができましたか。
槍ヶ岳はガイドブックを見ると上級者向けなんて書いてあることも多いので、登山経験が短い人からするとちょっと身構えてしまうかもしれません。
でも、登山道のほとんどはとてもよく整備されていて危険箇所もない道です。
また、槍ヶ岳のゴールの標高は高いもののそこに至るまでの道のりは長いので、高山病にはなりにくい山でした。
ただし、気をつけることは二つありました。
槍ヶ岳への道のりは長いということと岩場の登り下りが苦手な人は少し訓練が必要だということでした。
でも、少し訓練をすれば誰でも身につけられることなので、槍ヶ岳が上級者向けの山だと思う必要はないということです。
全くの登山初心者の人でなければ、ぜひ挑戦してみてください。
今回は以上です。
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