登山をすると大量のカロリーを消費します。そのため、食事だけではまかなえないカロリーを補うための食料である行動食が必要になります。
具体的に行動食は何をどのように持っていけばいいのか、どういうふうに食べたらよいのかといったことを、この記事では解説します。
食事とは別に行動食が必要なわけ
山に登ると普通のスポーツや普段の生活では考えられないくらいのエネルギーを消費します。
例えば、体重60Kgの成人男性が10Kgの荷物を背負って6時間の登山をすると、5000kcalを超えるカロリーを消費することになります。
以下の計算で求めることができます。
消費カロリー(kcal) = 運動時間(時間) x METs x 体重(kg) x 1.05
METSとは運動活動量を表した数値です。何もしていない状態を1として、運動の内容ごとにMETS数が決められています。
ちなみに9Kgから19Kg程度の荷物を背負ってする登山のMETSは8.3です。
1泊から2泊の山小屋泊の登山で10Kg弱、テント泊だと15Kgから20Kgくらいの荷物が必要だと考えていいでしょう。
METSは(独)国立健康・栄養研究所がまとめている身体活動のメッツ(METs)表で確認することができます。
ここで先ほどの計算式に当てはめてみると、
6(時間)×8.3×(60Kg+10Kg)×1.05=3,660 (kcal)
ということになります。
さらに、人間は何もしなくてもただ生きているだけで自動的にカロリーを消費します。これを基礎代謝といいます。
平均的な成人男性の基礎代謝は1日あたり1,500 (kcal)です。
先ほど計算した登山によって消費するカロリーに基礎代謝を足すと、5,000 (kcal)を超えることになります。
ダイエットをしていて常にカロリーを気にしている人からすれば、驚くべき数字ではないでしょうか。
5,000 (kcal)の食事を1日に取るとなると、どうですか。結構大変なんじゃないかと思います。
だから、登山をする時は、食事とは別に行動食が必要になるわけです。
行動食を選ぶポイント
カロリーが高い
登山中には大量にカロリーが消費されるためそれを補わなくちゃいけません。
ですので、栄養価の高いもの、高カロリーのものを小まめに取る必要があります。
自分が好きなもの
また山に登ると体がとても疲れますし、夏場は特に夏バテと水分の取り過ぎで、食欲がない時も多々あります。
なので、食欲がなくても無理なく食べられるもの、自分の好物も持っていくことをおすすめしますよ。
塩分が多い
あと山に登ると大量の汗をかき、汗とともに塩分も失われるので、塩分が多めのお菓子なんかも持っておくといいですね。
普段の食生活では塩分を控えめにしていると思いますが、登山では積極的に取るようにしましょう。
すぐに食べられる
それと行動食は、休憩の時だけでなく、歩きながらでも小まめに何度も食べるという感じで摂取していかなくてはいけません。
調理をしなくてもすぐに食べられるものであることも必要になってきます。
糖分
最後にとても重要な話をします。
糖分についてです。
登山をしていると脳に送られる糖分もなくなっていきます。
そうすると、次第に頭がボーッとしてきて、集中力がなくなります。
集中力がなくなると、重い荷物に引っ張られて滑落したり、足を捻挫してその場から動けなくなります。
つまり、遭難です。
遭難を回避するために、多くの登山者は糖分を取り続けます。
また、炭水化物は分解をしながら2時間ほどかけて糖分に変わると言われています。
糖分を摂取する方法のひとつとして、おにぎりなどの炭水化物を計画的に入れておくのもいいかもしれません。
おすすめの行動食
行動食に決まりはありません。
食べたいものを持っていけばいいです。
ただいつも同じものだと飽きてしまうので、できれば何種類も持っていくことをおすすめします。
飴、チョコレート
飴やチョコレートは大切な糖分を簡単に摂取できます。
チョコレートは夏山では溶けやすいので、持っていく場合は保管方法に工夫が必要になります。
菓子パン
食事というよりは、小腹が空いた時に空腹を満たすといった感じで食べるといいと思います。
おすすめはスティックパンです。
1個が丁度いい大きさなので、小まめに何度も食べることができます。
ちなみに私はチョコチップの入ったタイプのものが好きです。
またパンはおにぎりと違って涼しくても食べやすいです。
寒い時に冷たいおにぎりって食欲が湧かないですよねぇ😌
柿ピー
一回あたりの量が丁度いいです。口の中に流し込むようにして食べられるのもいいですよね。あと、行動食ではなく、登山後のお酒のお供に持っていく人も多いです(笑)
ドライフルーツ
気軽にフルーツが食べられるのがいいところです。
乾燥しているので、日持ちがします。
行動食としてだけではなく、非常食として毎回ザックに仕込ませておくのもおすすめです。
スポーツようかん
登山で疲れた体には、甘くてしっとりしたものがたまりません。
スポーツようかんはスポーツ用に開発されたようかんで、登山専門店に行けば売っています。
普通のようかんでも全然問題ないです。
フルグラ(シリアル)
穀類やフルーツをバランス良く取れます。
乾燥しているので、日持ちがいいです。
口に流し込むように食べられます。
飲むゼリー
体が疲れていると食欲が沸かないこともあります。
こんな時は栄養分やカロリーが補給できる飲むゼリーがおすすめです。
魚肉ソーセージ
栄養価も高いし簡単に食べられます。
食欲がなくても比較的食べやすいです。
食べた後のゴミが少なくなるのはグッドです。
ポテトチップス
カロリーが高く、塩分も取れるのがいいところです。
山に行ったら我慢しないで沢山食べましょう(笑)
袋に入ったタイプのものはかさばるので、持ち運びには不便かもしれません。
チップスターやプリングルスなど筒状に包装されたものだとザックのサイドポケットに刺せて便利です。
包装はできる限り少なく
細かい話ですが、ゴミを減らすために、包装の袋からは出して、できる限り容器に移すようにしましょう。
登山に持っていくものは細かくて数が多いです。
行動食もしかりです。
ゴミも結構出ます。
でも、山にはゴミ箱はありません。
山小屋にはゴミ箱がありますが、その小屋で購入したものしか捨てられなかったり、買ったとしても捨てられないケースも結構あります。
登山で出たゴミは家に持ち帰るのが基本です。
なので、行動食も可能な限り持っていく前に包装から出しておきましょう。
小包装のものはゴミを落としやすいので注意です。
登山道に飴の袋が落ちているのをよく見かけます。
できる限り、包装は減らしてから山に出かけましょう。
入れ物について
行動食の入れ物について簡単にまとめておきます。
タッパー
水分のあるもの、乾燥したものを問わず保存できるので便利です。
容器が硬いので、外からの衝撃で中身が割れる心配も少ないです。
物理的にかさばるのが難点かもです。
ジップロック
素材が柔らかいので、ポケットにも入れやすいです。
タッパーと違って、使用後にコンパクトになります。
ただしビニールなので、中身が割れやすいのはデメリットです。
ナルゲンボトル
筒状になっているので、ザックのサイドポケットなどに入れやすいのがポイント。
柿ピーやシリアル、ナッツなどの入れ物として最適です。
ボトルなので、水筒としても使えます。
またメモリも付いているので中身の量も分かって何かと便利です。
100均の透明のボトルでも代用できます。
ただし、水筒として使う場合、ナルゲンボトルだとマイナス20度から100度くらいまでの範囲で使えるので、便利です。
まとめ
登山をすると、普段の生活や普通のスポーツでは考えられないほどのカロリーを消費します。
1日に6時間を超える登山すれば、5000kcal消費することは珍しくありません。
とても食事だけで補うことはできないので、小まめに行動食を食べることが必要になってきます。
カロリーや塩分の不足を補うことも大切ですが、糖分の不足は特に注意が必要です。
頭の中から糖分がなくなると、集中力がなくなるので、滑落したり怪我をして最悪の場合遭難することもあります。
極力ゴミを出さないように持ち運びに工夫をして、登山中には意識をして小まめに行動食を食べるようにしましょう。
コメント