山に登ると、天気や気温が目まぐるしく変化します。
雨が降ってきたら、レインウェアを着るわけですが、雨に濡れないためだけでなく、濡れることで体温が下がるのを防ぐためという意味もあります。
つまり、防寒着としての役割です。
また単純に寒ければ、ダウンジャケットを着るということにもなるでしょう。
風が強ければ、ウインドブレーカーを着ることもあるでしょう。
登山用のウェアは沢山売られていますが、一体どのように選べばいいのか悩みますよね。
この記事では、防寒着の基本的な考え方や具体的に何を着るかといったことを解説します。
登山の服装は重ね着(レイヤード)が基本です
まずは登山の服装についての基本的な考え方についてお話します。
登山の服装の基本は、重ね着(レイヤード)といわれています。
大きく分けるとインナーレイヤー、ミッドレイヤー、アウターレイヤーの3つになります。
インナーレイヤーは肌の上に直接着る肌着、ミッドレイヤーはインナーの上に着る中間着、アウターレイヤーはさらにその上に着る上着のようなものということになります。
登山中は常に汗をかくので、その汗を順番に外へ逃してやる必要があります。インナーで吸水した汗をミッドレイヤーへつなぎ、ミッドレイヤーからさらにアウターに、アウターから外気へといったイメージです。
登山用のウェアは高機能製品のため、大抵のものはこの様に設計されています。
特に同じメーカーのもので揃えると、この循環が最も効率よく発揮されますので、おすすめです。
この点については、ジャパンブランドのファイントラックが得意とするところです。
とはいえ、インナーからアウターまでを同じブランドで揃えている人はほとんど見かけません。
登山用ウェアは基本的に高機能なので、自分の好みのものを選べば特に問題はないと思います。
インナーレイヤー、ミッドレイヤー、アウターレイヤーを組み合わせる
登山の服装は重ね着(レイヤード)が基本だということを見てきましたが、登山中に体温調節をするには、インナーからアウターまでのウェアを着たり脱いだりすることが重要になります。
それぞれ役割や商品を選ぶ際のポイントを見ていきましょう。
インナーレイヤー
インナーは、吸水性、速乾性が高いポリエステルなどの化学繊維素材のものを着るのが基本です。
綿素材のものは、登山には向きません。肌触りはとてもいいのですが、汗が乾きにくいからです。
また、ウール素材、その中でも特にメリノウール素材のものもおすすめです。
メリノウールは通常のウール素材と違って、肌に直接触れてもチクチクしないので着心地がとてもいいです。
また、ウール素材なので保温性がいいのは当然のこと、温暖な時には通気性の良さから涼しく感じることもできます。ですので、登山用のベースレイヤーにメリノウール素材のものを選ぶのはかなり有効です。
ただし、通常の化学繊維素材のものに比べて、若干高価にはなります。
インナーは最も基本的なウェアになります。
使用頻度が一番高く消耗品なので、多く持っておいた方がいいでしょう。
最初のうちは高価な登山用のものでなくても大丈夫です。
ユニクロやワークマンやスポーツ用品店で売っている安い化学繊維素材のシャツでも全然OKです。
登山を続けていくうちにいいものを使うようにするといいですよ。
ミッドレイヤー
ミッドレイヤーとしては、少し生地が厚めの長袖シャツやフリースジャケット、薄手のインナーダウンジャケットなどがあります。
秋になると涼しくなるので、半袖シャツの上に薄手の長袖シャツを着て歩くことが多くなります。
それでも寒い時はフリースジャケットを着るとかなり暖かくなります。
登山用のフリースジャケットを買うと汗を外に逃してくれるので、服の中が蒸れにくくなりますので、おすすめです。
とはいえ、日常用のフリースでも十分暖かいので、慣れないうちは高価な登山用のものを買う必要はないです。
ミッドレイヤーでも寒い時は、アウターを着ることになりますが、風よけに薄いアウターを着た時にその下に着ると便利なのがインナーダウンです。
通常のダウンジャケットに比べて薄いので重ね着をしても体を動かすのにあまりあり邪魔になりません。
また、フリースに比べダウンは小さく収納できるので、持ち運びにとても便利です。
アウターレイヤー
アウターレイヤーは一番上に着るものです。
雨の時はレインウェアを、風の強い時はウィンドブレーカーを、寒い時は厚めのダウンジャケットを、風が強くて寒い時はハードシェルなどを着ることになります。
雨が降るとレインウェアを着るのは当然ですが、濡れることで体を冷やさないようにするための防寒具としての役割もあります。
また風邪をシャットアウトすることもできます。
ですので、レインウェアは雨具だけでなく防寒具でもあるわけです。
薄手のウィンドブレーカーは重宝します。
真夏の登山で汗はかくけれども少し風が吹いていて何だか寒いかもという時は、薄手のウィンドブレーカーがあると便利です。
レインウェアは意外と防寒効果が高いので、暑かったりします。
また薄手のため手のひらに収まるくらい小さくまとまるので、かなりおすすめです。
標高が上がってきた時の休憩や登り終えて山小屋に着いた直後などはすぐに汗冷えしてきますので、厚手のダウンジャケットをサッと着込むようにしましょう。
厚手のダウンジャケットは朝晩に冷える山中での防寒着としてとても有効です。
またダウンなので、使わない時はコンパクトに収納できるので登山にはなくてはならないアイテムの一つです。
おそらく登山者で持っていない人はいないでしょう。
ハードシェルは、フードがついていて、防風・防寒・防雪・撥水機能があり、透湿性にも優れたウェアになります。
秋山の稜線や冬山で使用するのがメインとなります。
ただ、ダウンジャケットの上にレインウェアを重ね着することで大抵の場合は対応することができますので、必要に応じて購入すればいいものです。
その他の防寒具について
帽子
夏の山の稜線上を何時間も歩く時に帽子をかぶらないと熱中症になるリスクが高くなります。夏山の場合は特に、つばの大きめな帽子をかぶるようにしましょう。話はずれますが、登山中は木の枝や岩などに頭をぶつけるということは決して珍しいことではありません。障害物から頭部を守るという意味でも帽子をかぶることは重要です。
秋から冬にかけてはニット帽が有効です。
薄手のもの、厚手のもの、耳まで隠れるものなど何種類か持っていると便利です。
秋山のアプローチの際は薄手のものでいいでしょうし、秋山でも稜線上で風が強かったり、冬山の場合は耳まで隠れるタイプのものかぶらないとかなり辛い思いをしますので、注意が必要です。
ちなみに、ニット帽は内側がフリース素材になっているものだと、額がチクチクしないし、つけ心地もいいので、敏感肌の人にはおすすめです。
手袋
寒いからといって、ポケットに手を突っ込んで歩くのは登山では特に危険ですので、やめましょう。
寒い時は手袋をするのが基本です。
登山用に買うのをためらうようであれば、軍手でもOKです。ないよりはマシです。
ただし、雪山の場合は話は別です。
例えばマイナス15度くらいの温度を体感したことはありますか。そよ風が吹くだけでも素手のままではいられない状況です。
放っておくと凍傷の危険もあります。
雪山に行く場合は登山用品店などで相談しながら手袋を買う必要があります。
まとめ
登山をしていると、天気や気温が目まぐるしく変わります。
暑くなったり、寒くなったり。
雨が降ったり、止んだり。
晴れたり、曇ったり。
山に登っているとこんなことの繰り返しが頻繁にやってきますので、寒さ対策として厚手の上着を1着持っていればOKというのではなく、薄手のウェアを少しずつ重ね着をしていくという方法が有効になります。
逆に暑くなってきたら、上から少しずつ脱いでいくというイメージです。
インナーレイヤー、ミッドレイヤー、アウターレイヤーの役割や特性をしっかりと理解をして、その時々に応じたウェアの組み合わせができるようになるのが、登山の服装の基本であり、防寒対策にもなります。
また、登山用の高価な防寒具がないと登山ができないわけではないので、普段使いのもので代用できるものは積極的に使うというのはアリだと思います。フリースなんかはその典型例です。
登山に慣れてきたら、少しずつ買い足していくのがいいですよ。
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