登山には地図が必要だと聞きました。でも初心者なので、地図は読めません。
地図といってもどんな地図を買えばいいか分かりません。
地図を買ったらどのように使えばいいのですか。
おすすめの地図を教えてください。
初めて登山をする人やまだ登山地図を買ったことがない人、登山に地図が必要なのかが分からない人からは、こんな声が聞こえてきそうです。
この記事では、この様な疑問や悩みを解決できるように、登山用の地図について解説しています。
登山に地図は必需品です。
そもそもなぜ登山には地図が必要になるのでしょうか。
人が登る山であれば普通は登山道があるし、親切に途中に標識が立っていたりもします。
何も問題はないような気がします。
でも、街中のように目標となる目立った建造物などはないですし、標識はあるにしても十分にある訳ではありません。
ただそこに道があり、たまに標識があるだけです。
ちなみに標識が多いのは、登山客の多い人気の山域だけです。
あまり人が登らないマイナーな山などには標識なんてほぼありません。
道と標識だけがあるというのは、一体どういう状況なんでしょうか。
例えるなら、昔流行った巨大迷路を歩いているようなものです。
巨大迷路も道はあるので、とりあえずは前には進むことができます。
でも、周りは壁に囲まれていて、目標となるものがありません。
そこにたまたま標識があれば運良く行き先の方向が分かるかもしれませんが、なければそれも叶いません。
何が言いたいかというと、ゴールに着くまでは、いつまでたっても自分がいる場所が分からないということです。
でも、この巨大迷路の中からドローンを飛ばして上から見ることができたら、どうなりますか?
一瞬で現在地を把握することができますよね。
しかも、この先のゴールまでのルートも明確になりますよね。
地図を持って山に登るということは、こういうことなんです。
つまり、これから歩くルートを事前に確認したり、現在地を把握したりするために地図を持っていく訳です。
これはそのまま道迷い、さらには遭難を未然に防ぐという意味があります。
別に難しくありませんよね。
登山をするなら、地図は必要です。
地図は読めなくても大丈夫です。
登山関連の雑誌やインターネットの記事を見ると、「読図」という言葉をよく目にするかと思います。
読図とは地図を読むという意味です。
地図が読めないと、登山はできないのでしょうか。
ぶっちゃけて言えば、メジャーな山に登るのであれば、必要ありません。
正確にいうと、必須ではないけれども、読図ができればそれに越したことはない、ということです。
地図を読むという行為は、等高線の幅や形から山の形や傾斜を判断したり、コンパスを使用して地図の向きと自分の体の向きを合わせて、そこから見える山がどの山なのかを特定することで、現在地を確定することをいいます。
極端な話、読図をマスターできれば、道なき道だって歩いていくことができます。
でも、登山者の多い有名な山を登るのに、そこまでの技術は必要ないですよね。
例えば北アルプスの百名山の山に登れば分かりますが、地図とコンパスを持って真面目に読図をしている人なんて、見たことがありません。
道はしっかりと整備されていて標識も多いので分かりやすいし、人も多く歩いているので、迷う心配がほとんどないからです。
地図を見てすることは、次のようなことです。
この区間のコースタイムは何分と地図に書いてあって今何分歩いたから、現在地はこの辺りかな。
ちょうど目の前で沢と沢が合流しているから、やっぱり今はここで間違いないな。
こんな感じで、地図と周りの様子を見比べて、現在地を特定できればOKです。
地図を小まめに見て、予定通りに進んでいることを逐一確認する必要はありますが、そこまで神経質になる必要はないということです。
地図は、読むことが目的ではなくて、あくまで現在地を確認するためにあるということを忘れないでください。
どんな地図を買えばいいか
登山には地図が必要だということが分かったけど、では実際どんな地図を買ったらいいのでしょうか。
基本的に昭文社から出ている「山と高原地図」があればOKです。
山と高原地図には、登山口と駐車場、コースタイムや山小屋の場所、危険箇所、水場、高山植物が咲く時期と場所、展望の良い場所などなど、登山に有益な情報が満載です。
しかも、水に濡れても大丈夫で破れにくいビニールのような素材でできているのもポイントです。
また、日本全国の著名な山をカバーしていて、百名山に関してはすべて網羅しています。
あと大抵の本屋に売っているので、購入しやすいというメリットもあります。
山と高原地図は登山用の地図のスタンダードです。
登山に使う地図としては、国土地理院が発行している「地形図」というものもあります。
こちらは等高線や地図記号などが詳細に記載されていますので、読図をするのに向いています。
先ほど説明したように、登山者の多い有名な山に登るのであれば、読図まで必要はないので、地形図は基本的になくて大丈夫です。
ちなみに地形図は、少し大きめな本屋に行かないと売っていません。
また地形図は、ポスターのようにサイズが大きくて、素材が普通の紙でできているので、広げるのが面倒だし耐久性が劣るといったデメリットもあります。
地形図は使い方が分かって読めないと意味がないので、ぶっちゃけなくても大丈夫です。
ただし、あまりガイドブックなどに載っていないようなマイナーな山やルートを登る時は、コンパスとセットで必要になりますので、注意してください。
もし読図が必要な山に登りたいなら、山岳地形と読図 (ヤマケイ・テクニカルブック 登山技術全書)などの登山教本を読んだり、山岳ガイドや登山専門店が主催する読図の講習に参加してみるのをおすすめします。
一般的な登山には山と高原地図があれば、大抵は事足ります。
補足ですが、現在地を確認するのに、GPS機能の付いた登山アプリを使うのも便利です。
おすすめは、YAMAPです。
アプリ内で登る山の地図をダウンロードすることができ、行き先の山をセットすると、マップ上の歩いてきた軌跡を自動的になぞってくれる優れものです。
また、実際にかかった時間も記録されるので、簡単に山行記録を作成することができます。
ただ、スマホの電池が切れると使えなくなるので、やはり紙ベースの地図がメインで、アプリはサブという位置づけにしておくべきでしょう。
地図はどのように使えばいいのか
では本屋で購入した地図を具体的にどのように使ったらよいのでしょうか。
せっかく買ったのですから、登山中だけでなく、入山前から下山後までフルに有効活用しましょう。
入山前の登山口の確認
登山口の駐車場は、案外分かりにくいところにあります。
登山バスで行くのであれば何も考えなくてもよいのですが、マイカーで行くとなれば、話は別です。
カーナビには、登山口なんて検索してもほぼ出てきません。
ここで山と高原地図を見るわけです。
登山口近くの林道のカーブの仕方や近くに流れている川の形などを頼りに、カーナビの画面と山と高原地図を見比べると、上手くナビの設定ができるはずですよ。
逆に、山と高原地図がなくて、カーナビの目的地設定なんてどうやってやるんだろうと思います。
これから歩くルートと所要時間の確認
登山口に着いたら、改めてこれから歩くルートと次のポイントまでの所要時間を確認します。
何も確認せずに歩き出すと、ただ闇雲に歩くことになるので、ペースも掴みづらく疲れるだけです。
次の休憩ポイントまでがどれくらいかを把握しておくだけでも、気持ちにゆとりができますよね。
また同じ登山口から複数のルートが伸びていることも珍しくはないので、歩き出す方向も改めて地図で確認したいところです。
登山中の現在地の確認
先ほど説明したとおり、現在地を確認するのが、地図の主な目的です。
たとえ道に迷っていなくても、歩いてきた道が予定していたルートから外れていないかを小まめに地図を見ながら確認しましょう。
YAMAPなどの登山用アプリを併用すると、現在地だけでなく、歩いた時間なども記録されるので、とても便利です。
文明の力は積極的に活用しましょう。
下山後の温泉などの確認
地図は下山後も活用できます。
登山をすると汗を沢山かきます。
下山したら、夏であれば少しでも早く汗を流したくなりますし、秋や冬であれば冷えた体を温泉で温めたくなりますよね。
そこでまた山と高原地図を見てください。
すると、あちこちに温泉のマークが載っているはずです。
そうなんです。
山は温泉の宝庫なんですよね。
こうやっていつも山と高原地図を眺めていると、結構温泉に詳しくなったりします。
山を登ると趣味の範囲が広まりそうですね。
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